消えないで、媚薬。
【いびつな愛】




「今日、泊まっていい?」




「えっと……両親には何て言ってるの?」




「うーん……友達ん家?」




「ずっと嘘つき通すの?」




それはさすがに申し訳無い。
ちゃんとこれからのこと考えるんなら嘘つかせちゃダメだ。




「え、だって本当のこと言えないじゃん?女の家泊まる〜なんてバカ正直に言う奴居ないでしょ」




「それでも私は慶太に嘘つかせたくないよ」




「え〜お泊りも我慢なの?」




「そうだね…」




「お願い!もう胸揉まないから!」




「いや、そういう意味じゃなくて…ううん、そういう意味もあるけど、これからのことちゃんと考えない?」




「え……?」




「どんなに足掻いても私が年上で慶太は年下……どう二人の気持ちが固くても世間じゃ私たちをよく思わない人たちも居るってこと充分知っておくのも大切だと思うんだ…」




「言いたい奴には言わせておけばいいじゃん?関係ねぇよ…」




「コラ、それがダメだって言ってんの」




「一緒に居たいのに……何でだよ」




ありゃ、また拗ねとる……




「香帆さんは俺と一緒に居たくないの?」




「居たいよ、でも好きな人に嘘つかせてまで一緒に居たいとは思わない。やり方が違う、そんなのちゃんと相手を思っての行為じゃない」




「ちゃんと離れて寝るからっ…!ダメ…?」




「慶太……」




「俺から居場所奪わないでよ……」




「居場所って……ここ?」




「うん……香帆さんが俺の居場所、ホッとする場所なんだ…」




どういうこと…?
聞いちゃっていいのかな…?
他に心の拠り所はないのか…?
友達らと一緒なのは何度か見たことあるけど、それ以外はまだ謎のままだ。
今まで一切聞いたことがない慶太のプライベートな話。






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