初恋ストロベリーサイダー
全ての始まり。
 イヤホンを耳に当て、お気に入りの音楽を聞きながら学校までの道のりを歩く。

一昨日まで冷たかったはずの風があたたかい。風も春を、私の入学をやっと祝ってくれてるのかななんて考えながら校門をくぐる。





「おはよ〜…ふぁーぁ…」


 ガラガラと音を立て新しいとは言えないような教室の扉を開ける。口からは遅くまで起きていた為蓄えられたあくびが溢れる。

「おはよー」

「おはー」

「おはようー‼」

 教室の各方向から聞こえる声を横目に私は自分の席に座った。


……ここで自己紹介。

 私は、綾瀬 凛音(あやせ りおん)。ごく普通の高校一年生。
ここ公立S高校に通っています。
1学年1〜6組まであって、4組までが普通科。5組が体育コース。6組が体育科。

ここまで聞いてもらってわかるかもなんだけど、S高校は学力はさておきスポーツが盛んだ。
そんなこと元吹奏楽部の私には関係ないんだけどね。これからも愛用のフルートと一緒に高校生活を楽しむつもりだしね。


そして、なにより私の家から近い。徒歩15分程だ。
私がここの高校を選んだのは後方に述べた理由が大きい。あとは、仲の良い友達が入るからだ。


…そう。つまりはなんとなく。特に大きな目標などはもっていなかった。



「凛音ー‼」

何度も聞き慣れた声が背後から聞こえた。視線をそちらへ変えるとニコニコしながら一人の同級生が立ってた。
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