君の子守唄

咲の過去

咲も…………3歳で父親と母親に………

気持ち的には捨てられていた。

それからは、言葉を紡ぐことを諦め

ぬいぐるみを集めることで、寂しさを紛らせていた。

それが………

兄貴に出逢って…………また自分の気持ちを

声にのせることができている。

同じ境遇で育った咲のことが、愛しいと感じるのに

時間はかからなかった。

ただし、それは…………

同じ環境で育った仲間意識からくるものだ。

………………………………ホントにそれだけの気持ちだった。

咲が兄貴に引かれていることも気づいていたし……………。

兄貴が、妹以上に感じていることも分かっていたから。

なのに…………

3人で夕食を取るようになった頃から………

同じ環境で育った仲間意識とは違い。

心配している、兄のような感情とも違う…………

特別な思いだと…………………気づいてしまった。

決して報われることのない感情なのに…………。
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