死者の時間〜最期のメッセージ〜
ウォーター
「あれ?大河は〜?」

研究所の部屋に入った監察医の木下朝子(きのしたあさこ)が訊ねる。同じく監察医の田中聖(たなかひじり)が、「アイツなら今日からアメリカに行くからしばらく来ないぞ」と江戸川乱歩の小説を読みながら言った。

今日からしばらくは大河がいないため、現場に足を運ぶのは藍一人になる。久しぶりの一人に藍は少し違和感を覚えた。

「如月刑事は喜びそうだよね〜。藍を独り占めできるからさ!」

朝子がニヤニヤしながら藍に話しかける。藍は首を傾げ、「どういうこと?」と返す。朝子はその問いには答えず、ニヤニヤしたまま書類に目を向け始めた。

藍は首を傾げながらも、仕事をしようと椅子を回転させる。その時、所長室のドアが開いて春川正人(はるかわまさと)が「おはようございます」と言った。藍たちも、「おはようございます」と挨拶を返す。

「みなさんご存知だと思いますが、河野くんがしばらくアメリカに行くため解剖が忙しくなると思います。そのため、司法解剖などの受け入れを制限しようと思います」
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