いつか、きっと。
終業式のあとで
一番長いはずの二学期もあっという間にすぎていった。

一学期はまだ転校して来たばかりで慣れなかったし、気持ちの上で落ち着かなかったからかな。

二学期は友達とも仲良くなれて、本当に楽しくて充実した時間を過ごすことができたんだと思う。

今日は十二月二十四日。

クリスマスイブの日の今日は、終業式でもあった。

「あーあ、ホワイトクリスマスになるかなって期待しとったとに。まさか雨になるとはね」

「バカ、今は雨かも知れんけど、こいが夜中になったら雪に変わるとぞ!」

傘さして学校まで歩きながら友也といつもの調子で喋っていた。

友也が言ってるのは、この時季になるとよく耳にする有名なクリスマスソングの歌詞のことだろう。

「意外と友也ってロマンチックなこと考えるとね。ねぇ友也はサンタさんになんばお願いしたと?」

私が聞いたのはもちろんクリスマスプレゼントのこと。

私は毎年クリスマスが近づいてくると、サンタさんにお手紙を書いて靴下の中に入れてベッドの近くに置いておく。

「もしかして、明日美はまだサンタさん信じとると?」

………そんなの、信じてるかって言ったら、私だって本気で信じているわけじゃないけど。

「プレゼントはお父さんかお母さんが買ってくれよるって分かっとるけど……。一応サンタさんからもらったって信じとるフリばしとるよ」

確かに、プレゼントを見つけてお父さんたちに見せたりして喜んでいる時は、ちょっと演技してるから嘘っぽいかなーとか思うけど。

お父さんが私のためにサンタさんになってくれてるから、サンタさんはいるのと同じ。

「うちは、去年からクリスマスプレゼントは廃止された」

へ?廃止?

「去年のクリスマス前に母ちゃんから『サンタクロースって本当におると思う?』って聞かれたけんさ『おらんとやろ?』って言ったっさ。そしたら『正解。というわけで今年からプレゼントは廃止』ってさ」

「そ、そうね……。まあ元気出さんね。ケーキならうちに食べに来んね」

「そいがケーキはあっとさ。チキンも食べるし。クリスマスはすっとにプレゼントだけ廃止ってばい。まあ、よかけど」

『よかけど』は強がってる風じゃなく、本当に気にしてる訳じゃなさそうだった。

そんな友也がちょっと大人びて見えて、私も来年からサンタさんにはプレゼントいらないって手紙を書こうかなと思った。


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