夜が明けるとき ~続・魔法の鍵と隻眼の姫

何かが蠢く舞踏会

エルストンが帰ってきた理由。
嫉妬の魔法を掛けた者の正体が分かった。

皆がそろった応接間。



「何だと!?」

国王の驚愕の叫びに王妃も青い顔をしている。
固唾を飲む皆の顔を見回したエルストン。

「魔法を掛けられていたものは皆、復興が遅れていたノーゼス国にボランティアで赴いていた者たちでした。そこで、援助に感謝し労をねぎらったのがノーゼス国の王とその弟、デマインド公爵です」

「デスタもそこに行ったと言っていたな」

ラミンはデスタに刺されたことは覚えていないが話は聞いている。
本当のデスタはそんな事をする奴じゃないとわかってるから今回の件に巻き込まれただけだ恨むつもりもない。

「そうです。デスタによるとあのナイフは復興の協力の礼に贈られた品の中の一つだったそうですが、ノーゼス国から贈られた物ではないそうです」

「グラージャが紛れ込ませたのでしょう。そして偶然なのか狙ってなのかはわかりませんがラミンの知り合いのデスタが手にした…」

「奴のことだ狙っていたに決まってる」

「……」

ガゼントがきっぱり言ったのを聞いてラミンは渋い顔をする。
仲のいいデスタを使って明らかに自分は狙われていたということだ。
まんまとグラージャの罠にはまっていいように振り回されてるということは理解した。

「なぜラミンが狙われたのかな?」

「ヴァルミラ様の子孫だから?」

「子孫は他にもいるだろう?」

「そうだよね?」

うーんと悩むセイラスやトニアス達。

「それはもちろん、嫉妬深いところがつけこみ安かったんだろう」

「はあ!?」

しれっと言ったガゼントに激怒するラミン。
言い返してやりたいけどなぜか言えなくて睨み付けた。

周りのみんなは妙に納得。
苦笑いを溢すエルストンは話を続ける。

「話を戻しますが、デマインド公爵はセイラス王太子の結婚式にも招かれてましたね?」

渋い顔をして頷く国王。
確かにノーゼス国とは隣国で友好国として国王以下重鎮たちを招いている。
舞踏会では何人もの要人と話もした。
セイラスの結婚式の事を思い出しアルトバル国王はある人物と言葉を交わしたことを思い出す。
それは一言二言の挨拶に過ぎない…。

「もう一度言います。今回の首謀者はデマインド公爵…の奥様、ルイーナ公爵夫人です」


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