夜が明けるとき ~続・魔法の鍵と隻眼の姫
油断と呪い
「フフフフフ……」
不気味な笑い声が室内に響き、うたた寝していたミレイアはビクッと目を覚まし緊張が走った。
ここはどこで今何時なのか?
覚めきらない頭で考えていた時だった。
「できたぞ…わし特性!嫉妬の魔法を解く魔法の粉薬じゃ!」
「わっ!」
叫び声にびっくりして、一気に目が覚めた。
そうだ、2日前からモリスデンが魔法研究室にこもり薬の開発をしていた。
ミレイアは手伝いをしながらそれができるのを待っていた。
3日目の朝が来ていた。
「モリー!出来たの?」
「出来たぞミレイア!わしの最高傑作じゃ!試してみるか?」
「え"?遠慮しとくわ…」
だってそれ、ゴキブリの足や蛇の皮や蛙の肝とか入ってるんだもん…。
絶対飲みたくない。
ミレイアは青い顔してブルブルと首を横に振った。
「そうか?まあ、魔法がかけられてない者にはただの栄養剤にしかならんがの」
フォフォフォと高笑いのモリスデン。
「これを魔法の掛かってるものに飲ませねば。ミレイア、シエラ城へ行くぞよ!」
「はい!」
シエラ王国では魔法が掛けられてると思われる人を集め、他国からもセイラス達がペガサスに馬車を着け連れてきていた。
「モリー!薬出来たのか?」
「おお、セイラス、トニアス、ご苦労じゃった。薬はこの通り」
どっさりと薬の入った袋をテーブルの上に置きふうっと息をはく。
「お兄さま!お疲れさまでした!」
「やあ、ミレイア。モリーの助手ご苦労さま」
「あのペガサスはどこに?」
「外にいるよ。会いに行くかい?」
会いたい!と大喜びのミレイアをセイラスとトニアスが連れていくのをモリスデンは頬を緩ませ横目で見ながらシエラ国王に尋ねた。
「フリドリートどうじゃな?」
「集まったのはざっと50人ほど。誰が魔法にかかっているかわからないが…」
「それは私が見てやろう」
聞いたことのない声がして振り向いたモリスデンとシエラ国王の後ろに立っていたのは燃えるような赤い髪にルビー色の瞳、整った顔立ちの青年だった。
「そなたは…まさか」
「お前がモリスデンか?会うのは初めてだな」
「ヴァルミラ様が言ってた方…か?」
初対面の二人。
しかしモリスデンは何やら知ってるようでアワアワと焦り出してガゼントを連れて戻って来たラミン達は驚く。
「なんだジジイ知ってんのか?こいつ」
「こいつとは何事じゃ!この方はヴァルミラ様と並ぶ2000年を生きる大魔法使いガゼント様なるぞ!」
ヴァルミラと並ぶ大魔法使いに恐れ多いことを!と一人興奮しているモリスデンに皆が驚きどう見てもラミンよりも年下の20代半ばに見えるガゼントに注目。
「え?2000年?」
そんな長生きだったのか?
「2000年前の生き証人じゃ!とはいえ今まで会ったことはなかったのじゃが…まさかあなた様じゃったとは…知らなんだ」
頑なに名を教えてくれなかったヴァルミラ様をちょっとばかし恨みまする…。