夜が明けるとき ~続・魔法の鍵と隻眼の姫

ミレイアの決意


自分の部屋に戻ったミレイアはチェストの上に置いた小さな小箱を手に取った。

開いてみるとそこには煌めくダイヤモンドに見事な彫りが入った指輪。
婚約を期にラミンから貰ったドリスター家の家宝。
ラミンが呪いに掛けられてから婚約破棄を訴えるラミンが悲しくて指輪をラミンの父、ハインツに返そうと思った。

「この指輪はラミンがあなたに永遠の愛を誓いさしあげたものです。ラミンの呪いはいつか必ず解ける日が来ます。どうかそれまでミレイア王女が持っていてください」

「ドリスター公爵さま…」

「我が愚息が不甲斐なくて申し訳ありません。でも、私はあなたにお父様と呼ばれる日を楽しみにしていたのですよ?」

指輪を差し出す手をやんわりと握り微笑むハインツにミレイアは涙が零れた。

それからずっとチェストの中にしまっていたけど…。

忘れてるならどんなに二人が惹かれあい想い合っていたか教えてあげればいいわ。
もっと我が儘言っていいのよ?

リノンの声が思い浮かばれる。

大切なラミンへの想い。

勇気が持てるように、愛するラミンを身近に感じられるように、この指輪はこれからずっと身に付けていようと自分の右薬指にはめた。

胸の前で祈るように手を握っていると慌ただしいノックが聞こえた。

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