極上旦那様ととろ甘契約結婚
帰ってきませんか?
『至急な要件が出来たので今夜は従兄弟の家に泊まります』

メッセージが来たのは月曜日の夕方五時。私の体調を心配し、用意してあるかもしれない夕飯には申し訳ないと言い、作ってあるなら明日食べるとも記してあった。

修吾さんが私に隠れて有給休暇をとって仕事を休んだのは先週の金曜日。感情も思考も整理出来なかった私は体調不良を言い訳に週末をずっと自室で過ごした上に、月曜日の朝も簡単な朝食を作ってすぐに部屋に引っ込んだので、あれ以来会話らしい会話を修吾さんとしていない。

勿論、修吾さんは私を心配して何度も部屋をのぞきに来てくれたし「休んでいたらいい」と家事もしてくれた。食欲がないと言った私にカットしたフルーツやらお手製のお粥やらも差し入れてくれた。

相変わらず細かいところまで気遣ってくれる優しい修吾さんだ。だからきっと私は何も聞かずに知らない振りをしたらいい。

「有給を取得する際は妻に報告するなんて項目、契約書にはないんだし」

呟いてスマホをベットの上に放り投げる。

きっと、契約結婚の妻のくせに普通の愛されてる妻と同じを求めてるなんて厚かましいのだろう。これまで必要以上に人と関わらないように生きてきたから、距離感が上手く計れない。「甘えちゃいけない」と「甘えていい」の間、丁度いい具合が分からない。

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