離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
結婚に向けて動きはじめた時間


結婚。それは人生の中でも一大イベントとも言える、大きな出来事である。世界でたったひとりの相手と出会い、愛を育み、その先にあるのが結婚。

……のはず。

しかし百々花は、まだよく知りもしない男との結婚に踏み切ろうとしている。というよりは、すでに決断を下し、しっかりと正式な契約書にサインまでしてある。

もしかしたら自分には影武者がいるのでは? その影武者が百々花の知らないところで結婚を決めたのでは?

そう考えるくらいに衝撃的で、あまりにも唐突な話だった。

千景のマンションから自宅に帰ってきた百々花は、熱いシャワーを頭から浴びながら、まとまらない頭の中をどうしたものかと悩んでいた。
マンションでシャワーを浴びてから帰ったらどうかと言われたが、いくらなんでもそれはできないと頑なに首を横に振り、千景と一緒にタクシーに乗り込んだ。彼は昨夜、ホテルに置いてきた自分の車を取りにいくからと、遠回りをして百々花を送ってくれたのだ。

本当にこのまま結婚してもいいの……?

今朝の千景の話によると、彼には親に強引に進められている縁談があるという。それを回避するために、百々花と結婚したいと。しかも、ほとぼりが冷めたら離婚してもいいというのだから驚きだ。
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