いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
まさかの再会
金曜日の失態を反省しながら週末を一人で過ごし、何事もなかったかのように月曜の朝がやって来た。

いつも通りの時間に起きてお弁当を作り、ラッシュになる少し前の電車に揺られて出勤した私は、会社に向かって歩きながら、社員証を取り出そうとバッグのポケットに手を入れる。

「……あれ？」

いつも入れている場所に、あるはずの社員証がない。

別の場所に入れたのかと思い、バッグのあちこちを探したけれど社員証は見つからなかった。

家に忘れてきたのかな？

昨日も一昨日も家では通勤用のバッグの中身を触ったりはしていないはずだけど、ないものはないのだから仕方がない。

ビルの入り口で部署と氏名、社員番号を記入して、それを元に警備員がパソコンで確認を取り、本日限り有効の仮社員証を発行してもらって、ようやく社内に入ることができる。

たくさんの社員を抱えた大きな会社だから仕方がないのだけれど、セキュリティー面が厳しくいろいろとめんどくさい。

仮社員証を手に営業部のオフィスへ向かいながら、金曜の夜はかなり酔っていたから、社員証をどこかに忘れたり落としたりしてしまったのではないかと不安になってきた。

送別会のあった居酒屋と、そのあとに寄ったバーへ探しに行った方がいいかも知れない。


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