いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─

料理が得意なわけではないのですが……

定時を過ぎたあと、創さんから頼まれた仕事をしながら、未来さんが迎えに来るのを待った。

１時間も経つと、仕事を終えた社員が一人、また一人と席を立ちオフィスをあとにして、私と創さん以外に残っているのはあと３人ほどだ。

航太は定時のチャイムと共にオフィスを出て行った。

そう言えば定時になる少し前に航太あての電話が掛かってきて、航太は電話に出るとひきつった顔で『すみません』と何度も謝ったり、『もう少しだけ待ってください』と懇願したりしていた。

取引先からの電話にしては様子がおかしかったし、まさかとは思うけど、ヤミ金にでも手を出して返済を迫られているんだろうか。

真相はわからないし私には関係ないけれど、切羽詰まってバカな考えだけは起こさないで欲しいと思う。

オフィスを出るのは何時頃になるだろうかと思いながら作業を進めていると、創さんが私を呼んだ。

追加の資料でもあるのかな。

そんなことを考えながら席を立って部長席の前に行くと、創さんはプリントアウトした資料と一緒にメモを差し出した。