いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─

知らなかった

池崎家に着くと、仁王立ちの未来さんが玄関先で待ち構えていた。

そして創さんの顔を見るなり、頭を鷲掴みにして頭突きを食らわした。

そのあまりの強烈さに、創さんは額を両手で押さえながらよろめいて後ずさる。

「いってぇ……！いきなり何すんだよ！」

「このバカッ！あんたがハッキリしないせいで、わけわかんないことになってるじゃないの！」

「わけわかんないのはそっちだろ？普通、子持ちの主婦が弟にいきなり頭突きかますか？」

「これでも全然足りないくらいだからね！あんた一人の問題じゃないんだから！」

「そんなのわかってるよ！俺だって早くどうにかしなきゃって、いろいろと考えてだな……」

どうやら創さんには、未来さんに叱責される心当たりがあるらしい。

何もかも理解できない私は、目の前で繰り広げられる姉弟喧嘩に、ただオロオロするばかりだ。

すると池崎課長がため息をつきながら、未来さんの肩に手を置いた。