いきなり婚─目覚めたら人の妻?!─
不意打ち
火曜日は定時で仕事を終えて会社を出た。

自宅の最寄り駅のそばにあるスーパーに寄って、特売になっていた大根と鶏の手羽元を買って帰り、一人で食べるには多すぎる量の大根と鶏の手羽元を圧力鍋で煮込みながら、もうひとつ鍋を出してゆで卵を作っている間に米を研いだ。

御飯はいつも多めに炊いて冷凍保存する。

おかずもこれだけ作っておけば、3日ほどはもちそうだと思った瞬間、昨日安藤部長から言われたことを思い出した。

一緒に食事をした和食居酒屋を出たあと、別れ際に安藤部長は「これからは毎日一緒に晩メシ食おうな」と言ったけれど、今日は会議が長引いて定時までに戻って来なかった。

部長ともなると忙しくて毎日私に構っている暇なんてないだろうし、さすがにこんな日までは一緒に食事をしようとは言って来ないだろう。

豆腐とワカメと玉ねぎの味噌汁を作り、殻を剥いたゆで卵を圧力調理の終わった大根と鶏の手羽元の煮汁に入れて煮込んでいると、テーブルの上に置いていたスマホから着信音が鳴った。

もしかしてと思いながらスマホを手に取ると、画面には『安藤部長』と表示されていた。

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