キミに伝えたい愛がある。
秋空
勉強と部活で夏休みはあっけなく終わった。


そして今日は定期演奏会当日。


朝から活動しっぱなしだった。


体育館の掃除をした後楽器を運んだり、音が響かない環境で演奏したりと大変だった。


開演が午後4時。


あと数分で始まる。



「ホルンのみんな、今までありがとう。最後にして最高の演奏しようね」



私がそういうと、隣に座っていた舞ちゃんがすすり泣きを始めた。



「悲しくなるから止めて下さい」


「舞ちゃん...」


「後でもう1回言いますけど、私ちゆり先輩が大好きでした。今日はちゆり先輩のためにもミスしないでさいっこーのステージにします!」


「ありがとう。一緒に頑張ろうね」


「はいっ!」



舞ちゃんに笑顔を向けた後、私はファーストの席に座っている莉音ちゃんを見た。


莉音ちゃんは斜め前に座る空くんの背中をじっと見つめていた。


莉音ちゃんにとって空くんは中学生の頃からの憧れで、ずっと想いを募らせている。



今日で引退だから、きっと複雑な感情が渦巻いて
いるんだろう。


莉音ちゃんともっと仲良くなりたかったな。


せめて最後の演奏くらいは心を通わせたい。


私は心の中で莉音ちゃんに『頑張ろう』と呟いた。



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