副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「ママ、もう着いた?」

途中、手土産を購入するために寄った、洋菓子店の駐車場で、唯が尋ねた。

「まだだよ。おみやげを選びにきたんだよ」

「何を買うの?」

興味津々で愛が聞く。

「何がいいかなあ。何か、おいしいものがいいね」

「「おやつ!?」」

声をそろえた二人に、啓太さんがおもわず吹き出した。

「この、おやつに対する意気込みは、まるでみいちゃんを見ているようだ」

唯と愛が、同時に首を傾げた。

「も、もう、啓太さん!!」

「ごめん、ごめん。つい」

「どうしたの?パパ」

啓太さんが私に叱られたかと思ったのか、唯が少しだけ心配そうに聞く。

「ん?唯と愛が、ママの子どもの頃にそっくりで、かわいいって話してたんだよ」

「「かわいい!!」」

再び声をそろえた双子達。

「そう。唯も愛もママも、3人ともかわいい」

真っ赤になる私をよそに、娘達は大喜びしていた。

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