副社長の初めての相手は誰?
8 家族と恋人
翌日。
絢が目を覚ますと、優輝と希歩が隣で寝ている姿を目に入った。
2人とも絢の方を見てぐっすり眠っているのを見ると、とても幸せを感じた。
「…よかった。…お父さんもお母さんも、やっと繋がれたんだね」
壁の時計を見ると朝の5時指していた。
「もうちょっと寝ようっと」
絢はまた眠りについた。
6時になると希歩が目をした。
起きて歯磨きをして、顔を洗うと、何となくスッキリした感覚がして体も軽くなっているのを希歩は感じた。
部屋に戻ってパジャマを脱いで、着替えをする希歩は胸に数ヶ所ついている跡が目に入り、昨夜の事を思い出してちょっと赤くなった。
体がちゃんと優輝を覚えていた。
そして再びその感覚に触れると、もう止まらなかった。
10年たって昔の自分じゃないし、体系だって変わってしまって、きっと幻滅されるのではないかと思っていた希歩だったが、優輝は感動して「綺麗だね」と言ってくれた。
それが嬉しくて胸がいっぱいになった希歩。
着替えを済ませて朝食の準備をしている希歩。
「おはよう…」
優輝が起きてきた。
「…おはよう…ございます…」
ちょっと恥ずかしそうな希歩を見て、優輝はクスッと笑った。
「どうしたの? そんなに畏まって」
「あ…いえ…」
ちょっと恥ずかしそうな希歩の傍に歩み寄って、優輝はそっと抱きしめた。
「夢じゃなくて良かった。朝起きて、希歩が居なくなっていたらってちょっと不安だったから」
「…いなくなったり…しないから…」
「うん、そうだね。…ねぇ、今日は休みだから。希歩のお父さんに、ご挨拶したいんだけどいい? 」
「…たぶん、いいと思うけど。ちょっと聞いてみるわ」
「うん。その後に、父さんと母さんにも会ってもらえる? 」
「…うん…」
ちょっと不安もある希歩だが、一歩踏み出してみようと思った。