揺蕩いの桜の下で君想ふ
夕暮れの心震わす蝉時雨
「小春(こはる)、待った?」

私の彼氏である春川 結桜(はるかわ ゆお)は、ヒラヒラと駅前に立つ私に手を振った。

「待ってないよ。私もさっき来たとこだし」

私、桜谷(さくらだに) 小春は、同じクラスの結桜と付き合っている。私が中学二年生の時に結桜に告白されて付き合い、高校2年生になった今でも付き合っている。

私と結桜には、中学生の頃から誰にも話したことの無い共通の趣味がある。それは――川柳や俳句、詩を書くこと。

休日の今日、今から私たちは2人でデートに行くんだ!久しぶりの遠出に、私の心臓がうるさいです……。最近は、近場しか行かなかったからなぁ。

私たちが今から行くのは、少し離れた場所にある文化会館。今日は、地元の人が作った川柳やら詩やらが飾られるんだって。

「いや~!楽しみっ!」

改札口を通り、私は言う。結桜も「そうだね」と微笑んだ。

そして、電車に乗って2駅ほど行った所で降りる。

会場につくと、私たちは作品を見て回った。どの作品も素晴らしいものばかり!

じっと作品を眺め、私は想像の世界に浸る。農作業をしている人、その人に笑いかける人、幸せそうに笑う人――。

私と結桜は、この場所を存分に楽しんで文化会館を後にした。
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