愛すべき彼女達 ~十人十色~
女の子

唯の場合…………その1

「暑い~」

「プール入りたぁ~い。」

さっきから、水筒のお茶を飲んで休憩ばかりしている

夏苗ちゃんと梓ちゃん。

「お茶、残しといてよ~」

デッキブラシ片手に、頬を膨らませる海晴ちゃんは………

実は子供用のチュウチュウアイスを

こっそりポケットに隠してるの。

「海晴、隠してても分かるからね。」

彩ちゃんに怒られて、舌を出して笑ってる。

今日は、もう直ぐ始まるプール開きに向けて掃除してるの。

一年使わないと、結構汚れてて

子供が帰ってから大忙し。

バス当番の終った順に始めてるんだけど………

暑さに、やる気の起きない夏苗ちゃんと梓ちゃんが

休憩ばかりで中々終わらないの。

「唯ちゃ~ん、旦那まだ??」

園バス運転中の悠人先生は………………

ずっと唯の憧れで、片想いだった人で。

3ヶ月前のホワイトデーに、おつきあいをすることになった彼氏さん。

最近ようやく、先生のことを『彼氏』って自覚出来るようになった

恋愛初心者です。

「梓ちゃん、旦那さんじゃないから…………。
それに、他の先生に聞かれると困るから………シィー。」

たんぽぽ幼稚園の園長先生は

悠人先生と仲良しで、親子のようなつきあいをしているの。

ただ、職場恋愛は禁止みたいで………

いくら息子のように思ってる先生でも、例外はないはず。

先生がクビになったら、毎日幼稚園で会えなくなっちゃうから……

絶対秘密にしないといけないのに。

何故かみんな呑気なの。
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