悔しいけど好き
番外編 〜困った奴ら〜

奴らの口撃に困ってます?

新年度。

もうすぐゴールデンウィークという4月の中旬。
美玖さんが退職し、新人一人と中途採用が一人と子会社からの移動が一人、と3人の新しい仲間が増え営業企画部は新しい体制となった。

凪と結婚もしたし気持ちも新たに頑張ろうと思ってはいるが……



少し困ったことが起きている。


「鷹臣さん!次はどこに行くんですか?」

「……おい、名前で呼ぶのやめろと言ってるだろ」

「え?いいじゃないですかあ!凪さんだって名前で呼んでるし!」

「だから、俺達は結婚してるからいいんだ!同じ名字なんだから仕方ないだろ!」

「でも凪さんはみんなに旧姓のまま呼ばれてるじゃないですか!あ、もしかしてラブラブアピールですか?会社にまでプライベートを持ち込むなんてやーらしー!」

「持ち込んでねえし!」

ああ言えばこう言う…
小うるさいこいつは子会社からの移動で来た嶋田真理亜(しまだまりあ)24歳。
明るめの茶髪にくるくるとよく回る目、見た目高校生に見えなくもないきゃぴきゃぴした奴だ。

何がどうなってこうなったのか、顔合わせの時からやけにこいつに気に入られ、ベタベタと付きまとってくる。
しかも歓迎会の時こいつはとんでもないことを宣言しやがった。

「私!結婚していようが関係ありません!鷹臣さんを口説き落とします!」

みんな口をあんぐりと開けて唖然としていたのは言うまでもない。
凪は顔を引きつらせて笑っていたが狙われる立場の俺は勘弁してくれと頭を抱える。

嶋田はみんなに止めとけと言われるのに余計にやる気になってるのか何かにつけてまとわりついてきた。
挙げ句に主任である俺がこいつの教育を任され約3ヶ月、一緒に仕事をしなければならない。

嶋田を伴い営業を回って早2週間。
俺は既にげっそりと疲れきっていた。

ピーチクパーチクうるさい嶋田を置いてさっさと帰りたい。
とは思いつつ、転勤で来たこいつはまだこの辺の土地勘が無いから迷子になっても後が大変だ。
仕方ないから顎で駅を指し示すとスタスタと歩き出す。

「待って下さいよ~鷹臣さーん!可愛い後輩を置いてかないで下さいよ~!」

でかい声で叫ばれこれはなんの試練なんだ?とガックリ肩を落とす。
後2ヶ月半、俺は持ち堪えれるだろうかとうんざりとしながら社へと戻った。

< 302 / 325 >

この作品をシェア

pagetop