エリート弁護士は独占愛を刻み込む
7、スマートすぎる彼
「葵、恭吾さんはいいとして、なんでこの人いるんだよ?」
高級しゃぶしゃぶ店で、向かい側の席に座っている弟の学が、彼の隣にいる晶さんを見て不満気に眉をひそめた。
弟は背が高く、黒髪でくせっ毛で鋭角的な顔立ちをしている。文武両道で昔から女の子にモテていた。
物腰柔らかな恭吾さんがプリンスだとすると、弟はナイト的な雰囲気。
弟は小さい頃から私のことを『葵』と呼ぶが、基本俺様キャラで姉を姉と思っていない。
それでも、私が母のことが心配で上京を渋っていたら、弟は『母さんは今は元気だし、俺がいるから大丈夫だ』と背中を押してくれた。
「あら、学ちゃん、冷たいこと言わないでよ。私と学ちゃんの仲じゃない」
晶さんが学の腕に親しげに触れれば、学はその手をペシッとはたき落とした。
「あんたと仲良くなった覚えはない」
流石我が弟、容赦ないな。
恭吾さんが弟の電話を切った後、私と恭吾さんは学と合流し、銀座にあるこの有名しゃぶしゃぶ店にやって来た。
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