エリート弁護士は独占愛を刻み込む
3、彼女を拾った理由ー恭吾side
葵にマッサージを頼んだが、十分くらい経つと徐々に彼女の手から力が抜けていった。
「葵……寝てる?」
うつ伏せのままそう問い掛けたら、「寝て……な……」と彼女の声が聞こえて、ゴンとベッドの横の壁に何かがぶつかる音がした。
その音に驚いて慌てて起き上がれば、葵が壁にもたれ掛かって寝ていた。
かけているメガネがずれていて、その姿を見て自然と笑みが溢れる。
あどけないその寝顔。
化粧をしていないと、まだ高校生くらいに見える。
恐らく意識を失って壁に頭をぶつけたのだろうが、それでも寝ているなんて相当疲れているんだな。
葵のメガネを外してサイドテーブルに乗せ、俺のベッドに寝かせると、彼女の足の裏を念入りにマッサージする。
しかし、彼女が起きる気配はない。
「無防備過ぎるよ」
半ば呆れながらも、葵がぐっすり眠っている姿を見て安堵する。
彼女をここに連れて来た日は、魂が抜けたように放心していてどうしたら元気になるのかと心配したものだ。
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