甘味好き御曹司とお見合い結婚!?
プロローグ
都会の住宅街と商店街の境目に、温かな雰囲気のイタリアンレストラン、ボナ・ペティはある。
オーナーでシェフのラザロードさんに、奥様でソムリエの理紗さん、デザートを専門に作る私、鈴木夏乃の三人とアルバイトのホールスタッフ二名で回している。
可愛らしい一軒家で営む家庭的な雰囲気の隠れ家イタリアンのお店だ。

 オーナーシェフはイタリア本国では四つ星の有名レストランで修業してきたので、提供される料理はどれも美味しい。
 そんなお店に私が訪れたのは、高校の卒業式。
 前からここにお店があったのは知っていたが、敷居が高く高校生では入ることができなかった。
 地元でも美味しいと有名なお店に、高校の卒業祝いにと祖母が連れてきてくれたのがきっかけで、その後は自分一人でも度々訪れて、美味しいイタリアンを食べるのが私の自分へのご褒美になっていた。

 そんな私は、高校卒業後は製菓の専門学校に通ってパティシエを目指していた。しかし、就職先がなかなか思うように決まらず焦っていたころボナ・ペティへ行った際、ちょうど料理を運んでくれた理紗さんに就職先が決まらないとぽろっと口にしていた。

 そのころ、ボナ・ペティではお菓子を作る人が丁度辞めることが決まっており、後任を探していた。
 私は声を掛けられ、前任者のレシピでお菓子が作れることが確認できると、理紗さんとラザロードさんからボナ・ペティで働くことを提案されて就職した。
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