甘味好き御曹司とお見合い結婚!?

 彼は私の姿を見るとニコッと微笑んで、席から立ちあがって私を迎えてくれた。

 「初めまして、鈴木夏乃さん。俺は高峰潤也と言います。夏乃さんのおばあ様の教室でアシスタントをしている高峰弥生の次男になります」

 そう、簡潔に挨拶をして差し出された手に、おずおずと私が差し出した手を高峰さんは大きな手で握り返した。

 「いつも、ここに来るときは君の作るデザートを楽しみに来ていたんだ。こんななりだけれど甘いものに目がなくって。ここのデザートはいつ来ても絶品でお気に入りなんだ」

 オーダースーツの似合う彼は、身長も高くなにかスポーツをしていたであろうスラッとしつつも筋肉質なタイプのイケメンだった。
 確かに、見た目だけだと甘いものが好きとは思わない。

 「ありがとうございます。いつも美味しそうに召し上がっていただいていて、私も作るのに張り合いがありました」

 柔らかく、話しやすい雰囲気にぽろっと零れた言葉。そんな私の言葉に彼は照れくさそうに微笑んで答えてくれた。

 「この前、兄貴に誕生日に連れてこられた時のチョコレートケーキはベリーのソースととても合って美味しかった。特別なケーキのお礼を伝えたかったけれど、その日君は早上がりだと聞いて会えなかったことを残念に思っていたんだ」

 まさか、私に会いたいと思っていたというのが彼だったなんて想像もしていなくて、目を見開いて驚くと、高峰さんはそんな私を見ても優しさをにじませた笑みを浮かべて、優しく言った。
< 17 / 52 >

この作品をシェア

pagetop