浮気男のシンデレラ
二人の出会いは突然に‼
「ねえ、ねえ‼ 大丈夫ですか?
ありゃりゃ
伸びちゃってるけど生きてます?
聞こえますか?オ────イ!!📣」


柔らかい声の方へと体を向ける。
俺はうつ伏せに倒れているらしい。


うっすらと目を開けると朱色の
煉瓦道が広がって、朱色のレンガの
端にはポサポサとした草が茂っていた。




「ううっ、はああ苦しい。」


そう呟くと俺は体制を変えて
上向きになる、苦し紛れに目を
薄く開けると、目の前に見えた
景色は、黒い大きな澄んだ瞳と
クルリと巻いた軟らかな髪。


「ああ、☆♪✤➷☆♪」
可愛いらしい。


と呟いたはずなのに伝わらなかった
酔っ払い特有のレロレロ語。


「ん、なんですか?
苦しいんですす か?」


彼女は俺のネクタイを緩め

シャッの一番上のボタンを
はずし、ベルトを緩めた。



「ふう〜っ、」
深い息が出来るよう
になった。


「もう直ぐ救急車が来ますよ。
頑張っ て」と呟いた。
こんな苦しいはずなのに彼女に
一目惚れしてしまった。
これが属に言う縁というものか?



「脈を取りますね。」


救急隊と連絡を取っているのが解る。


「多分急性アルコール中毒じゃない
かな?と思います。
沢山飲まれてるようですよ。


脈?上がってます。
顔色は凄くわるいです。
吐き気は有ります。随分吐かれて
いますよ道いっぱい。」



「エッ・・・とお名前は、喋れ無いで
すよね。」

俺は、体を起こし財布の中の
免許証を渡して・・

「こっ・・・・・・れハァハァ」


「雅楽代 慶一道・・・さん?
(ウタシロ ケイイチドウ)
名前 なが・・・‼」


彼女と救急隊の、電話の会話が
終わった時、


「君、な・・・➽✤ま☆➷✤は?」


「ん?名前?私の?」
「ひよ《《ピーポーピーポーピーポ
ー》》よ。」


慌ただしい雑踏の音とサイレン
の音で殆どききとれなかった。
それ以上話す力は無く、力尽き
眠ってしまった。




目覚めた時は、病院でグチグチ叱る
医者が居た。

絶対女系の中で育ってるな‼
グチグチの内容はグルグル同じ
説教。

おれ、疲れてるんだけど・・・
とも言えずボー。
話は全然聞いていなく
て、此処に運んでくれた彼女を思って
いた。



「ああ、あの彼女‼ 可愛らしい子ね。
さっきまでいたのよ。
お仕事の時間だからと帰ったわよ〜
心配かけちゃダメよ。」



50歳位のベテランの看護師さんは、
カーテンをニッコリしながら引いた。

その時前歯の端の1本がヌケていた。


美人が・・・💦勿体ない。
つい、テレビで見るドリフ〇ーズ
のコントを思い出した。

それを見た時・・・「ぁあああっ‼」
歯医者さんの予約を
入れている事を、ついでに思い
だし慌てて、看護師さんに頼んで
キャンセルを入れてもらった。


昨日は合コンの後、余り気に入った
子がいなかったから、直人お気に入り
のキャバクラに連れていかれ悪友達と
飲んだ。


するとその店には、結構好みの子がいて、何となく気が合って楽しく飲めた。

それから何となーくそんな雰囲気にな
りタクシーに乗って何時ものコース。

のつもりがホテルの近くで、気持ち
悪くなりタクシーを降りた。

「ウプッ」


「キャー汚いーなにしてんの?


ウワッウワッ、寄らないでよ。」

「み、水・・・水・・・み・・・を」

俺は吐きあげながら必死で頼んだ!


「なに?分かんないよ!臭﹏
近寄らないでってば━━━‼💢」


彼女は俺から離れ

「う﹏んもう、知らないっ💢自分で
帰ってよね、知らないから‼」


えッ! さっきまで俺の事、すっき、
好き、すっき、好き言ってたやん。


彼女にしてぇ〜、↗
貴方が好きなのぉ〜↗
愛してしまったのぉ〜❤って言って
たやん?



貴方に本気になっちゃった💕
ウフって・・・ウフってなんなん?
アレは営業なのか?
ベタベタベタベタしてたやーん。




当然介抱して貰えると思っていたのに
必死で水・・・と叫ぶ俺を振り切って
タクシーと共に消えやがった。


俺も本気じゃ無かったからお互い
様だけどサ。


「そりゃー無いだろう~」



俺は力ついて寝てしまった。ってか
気絶してしまった。


朦朧とする、意識の中冷たいイオン水
をハンカチに浸して飲ませてくれた
俺はバッと取って、ゴクゴクゴクと
一気に飲み干した。


頭を抱えられ柔らかい太腿の感触、
干からびた身体に水が満ちていくのが
分かる程、脱水を起こしていた。


「あ、ありがとう。」
フウッ

「一気に飲んだら駄目だよ。
大丈夫?ねえ大丈夫?
苦しく無い?」

と尋ねた彼女に会いたい。


あったら御礼をいいたい。


撒き散らしたチーズの腐った臭い
残飯2週間ぐらいほったらかしたよう
な体臭をモロともせず、冷たい水で顔
を拭いてくれて、上着を脱がし、
ネクタイをゆるめベルトを外してくれた。



ベッドでは、色んな女が赤い爪、
怪しげなルージュでニヤニヤしながら
俺を誘って彼女と同じ事をした。



しかし彼女は、桜色の爪、薄い
ピンクの口紅そしてニヤニヤせず


「大丈夫?」と俺を心配してくれる。
こんな子がこの世の中いたのか、
天使天使でしかない。



もう一度会いたい。
そして君にいいたい。
一目惚れしてしまいました。
俺と付き合って下さい・・・と。








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