愛というもの~哀しみの中で~
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私は震える足で何とか靴を脱ぎキッチン台の棚に置いてあるマグカップを取った。
手も震えててマグカップを台の上に落としてしまった。幸い割れずに済んだけど芹沢さんはその音を聞いて私の元へと近づいてきた。

「大丈夫?悪い、自分でするよ。」

芹沢さんの手が背後から私の目の前に来て思わずビクッとなった…
逃げ出したいのに怖くて足が動かない。
まるであの時のようだった。無理やりホテルの部屋へ連れ込まれ、着ている物を破かれた。
必死で抵抗すれば逃げられたかもしれないけど怖くて声も出なかった。

「マグカップ一個しかない?マジか…」

芹沢さんは私の部屋を見渡した。
6畳一間キッチンと押し入れ、トイレとお風呂が付いた見渡すほどもない狭い部屋だった。

「ってかテレビもない…」

そんなもの買うお金もない。食器だって自分の分を買うので精一杯だ。

「インスタントのコーヒーか水出し麦茶しかありません。」

そう言うと芹沢さんはこちらを見てまぶしい笑顔で『じゃあ、麦茶!』と言った。
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