死者の体温〜最期のメッセージ〜
リグレット
その日の夜、藍は如月刑事と大河とともに街を歩いていた。夕食を食べるためだ。

死因を見つけることができず落ち込んでいる藍に、「こんな時はおいしいものを食べましょうよ!」と大河が声をかけたのだ。

「なら俺も行っていいか。いい店を見つけた」

帰る支度をしていた如月刑事も言い、藍は「大丈夫よ」と頷いた。大河はとても嫌そうな顔だったが……。

「この辺りにお前の好きそうな店があるんだ」

如月刑事の後を藍は歩いていた。藍の隣に大河が並び、如月刑事などいないかのように藍に楽しそうに話しかける。

「霧島さん!この前友達が素敵な夜景が見える場所を見つけたんです。星も綺麗だそうですよ」

「素敵ね。星を見ると心が落ち着くわ」

「星か……。スペインに新婚旅行に行ったやつが、カナリア島の星が綺麗だと言っていたな……」

三人で話しながら歩いていた時、藍の目にあるものが止まった。貸衣装のお店だ。もう閉店したらしく、「closed」のプレートがドアにかけられている。
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