幼なじみの不器用な愛情
第九章~過去からの使者~
「いいよ。大丈夫。こうして声が聴けただけでも十分。」
華が焦って言い訳をする。
でも隆弘はそんな言い訳はもう聞いていない。
『5分で着く』
隆弘の勤める学校からは車で5分程度のかなり近くに華のアパートがある。
「いいよ。昨日だってほとんど寝てないんだから、休んで?」
『いいから。』



隆弘は本当に5分後には華の部屋のチャイムを鳴らしていた。
玄関で待っていた華がすぐにカギを開けると、隆弘が華の体を抱きしめた。
「ごめんなさい・・・」
華は自分が言ってしまった言葉で隆弘に無理をさせてしまったことに罪悪感を感じていた。
「うれしかった。」
隆弘は華を抱きしめたまま話す。
「華が自分の正直な気持ちを言ってくれたんだ。うれしいに決まってるだろ?」
「・・・」
「やっと気持ちが通じ合ったんだ。一秒だって離れたくないのは俺も同じだ。」
隆弘の言葉に華はうれしくなる。
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