いつも、ずっと。
中学の卒業式の日。

俺は明日美に誓った。

『高校生のうちは彼女は作らない』と。

高校受験で南海高校を選んだのは、先生から特待生として推薦してくれると言われたのが大きいが、それだけではない。

それは南海が男子高だからだ。

本当だったら明日美と同じ高校に行きたいけど、多分それは無理だ。

明日美は多分、大学進学まで考えていないだろう。

だとしたら公立五校みたいな進学校へ行くより、商業高校に行った方が就職には有利になるんじゃないか。

俺は小学校の教師になるのが夢だから、大学進学は必須。

二人の進む道が違う以上、同じ高校に行くなんて無理な話だ。

それなら、せめて共学ではなく男子高にしたかった。

それなら女子と接触することもないし、明日美に余計な誤解を与えることもない。

だから、出来ることなら明日美にも女子高に行ってほしい。

そう願うけど、あからさまに理由を言うわけにもいかないから、上手い理由をつけ女子のみの商業高校であるJ商業を勧めた。

明日美は何の疑いも持たなかったようで、俺のアドバイス通りにJ商業へ進学した。

素直なところが可愛いんだけど、その素直さを他の男には見せないでほしい。

つくづく俺は独占欲の強い男だ。

それならば早々に明日美と"カレカノ"になってがんじがらめに束縛したらいいじゃないか。

勿論、そうしてしまいたい気持ちは多分にある。

しかしそれでは明日美に鬱陶しがられ、嫌われてしまうだろう。

それに明日美の気持ちだってどうなるか分からない。

若いうちはまだまだ未熟で、自分の気持ちをコントロールするのは難しい。

だから適度な距離感を保てる"親友"というポジションが一番都合がいいのだ。

"カレカノ"だったらお互いの気持ちを制御できなくなり、別れてしまう可能性もある。

これから先の長い人生を共に歩んでいくためには、あまり早いうちから恋人関係にならない方がいいような気がしてならない。

"親友"だったら別れることもないし、ずっと近くにいてもおかしくないはず。

明日美のことを幸せにしてやれる男になるために、高校大学でしっかり勉学に励み、教員免許を取得して教職に就かねばならない。

< 3 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop