目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。

別荘

退院して私達が向かった先は、病院から一時間弱の場所にある海の見える別荘地だった。
暫く海岸線を走ってから山道に入ると、ハリウッドセレブの邸宅のような個性的な別荘がいくつも立ち並んでいる。
その中を彼の運転する黒のドイツ製SUVは、急な坂道をものともせず、ぐんぐん登り加速して行った。

「静かな所で静養する」と言っていたから、自宅ではないんだろうなと思っていたけど、まさか別荘に連れてこられるなんて!
製薬会社の社長って、やっぱりお金持ちなのね。
そう考えると、ますます助手席に乗っている自分が場違いに思えた。
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