目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。

追想③(蓮司)

笙子と別れた翌日、うすぼんやりしていた俺は、社長室にスケジュール確認をしに来た三国さんに尋ねた。

「なぁ、三国さん」

「はい、何でしょうか?」

「プロポーズってどうやってするの?」

その質問に三国さんは一度、手帳に視線を落とし、次にその手帳を振り上げた。

「女狐に誑かされましたか?」

「……いや!いやいや!!違う!相手が違うっ!」

三国さんの恐ろしい勘違いを、必死になって訂正する。
確かに勘違いをさせるような発言だったのは認めるが、手帳で殴ろうとするのはどうだろう?
正気に戻そうとしたのかもしれないが、手帳の角は……ちょっと洒落にならない。
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