目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。

追想②(蓮司)

かかってきた電話の表示は、学生時代のゼミ仲間、二宮樹(いつき)だった。
俺もだが、あいつも番号を変えていないんだなと、少しほっとした自分がいる。
それと同時に、二宮樹という男を思い出していた。
彼は薬学部を出て公務員試験を受けた。
とても頭が良い男だったので、当時皆は彼が官僚になるのかと思っていたらしい。
だが何故か突然警察大学校に通い始めると、半年後警察官になったのだ。
それからどうなったかはわからないが、あのままならまだ警察官を続けているんだろう。
そういえば、もうかれこれ5年も連絡をとっていない。
今頃どうして……と、懐かしい反面少し胸騒ぎも感じていた。

「はい……」

久しぶりだからか、少し声が低くなった。
緊張している証拠だな。
< 78 / 285 >

この作品をシェア

pagetop