あたしは胸に輝くクロスのネックレスを指で触った。

将吾さまから今年の誕生日(バースデイ)プレゼントにもらったもので、空色のケースのお店のものだ。
あたしが持っている唯一のブランド品だ。

あたしを包み込むように優しく見つめる、あのカフェ・オ・レ色の瞳を心に浮かべる。


幼い頃から、二人の子どもを抱えて必死に生きる母や、そんな母を早く楽にさせたくていっそう勉学に励む兄には、どんなに寂しく辛いときでも甘えることはできなかった。

なにもできない「お荷物」な自分が、すっごく不甲斐なくてイヤだった。

自分さえいなければ、二人とももっと楽になれるのに、と思わずにはいられなかった。


でも……将吾さまのあの瞳が「そうじゃない」ことを教えてくれた。

お屋敷(ここ)にいてもいい、ということをだれよりも教えてくれていた。