絶対的Beast
ースっ。

大和先輩はそれだけ言うと、私の手からフリップを取って、棚の方へと歩いていってしまった。

対する私は、大和先輩に掴まれていた手首をギュッと握りしめてただただ立ち尽くすだけ。

……大和先輩の手、相変わらずひんやりしてた。

なのに、掴まれた私の手首は熱を持っていて……。

しかも、いつもと違うあの優しい顔が目に焼き付いて離れない。

ードクン……ドクンッ。

私、まだドキドキしてるよ……。

こんなに心を鷲掴みにされるの……まるで中1の時の依織先輩に助けられた時みたいな──────────

……っ!!
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