絶対的Beast
懐かしい、この胸の疼き……。

教室を目指して校舎内をズンズン進んでいた私の足は、角を曲がると同時に止まった。

……ずっと会いたかった、大好きなあの人を見つけたから──────────

「おはようございます」

明るい挨拶で入学生を出迎え、教室の中へと誘導するその人。

爽やかな笑顔、癒される声、好青年な先輩に似合うサラサラの黒髪……すべてがあの時のままで。

込み上げてくる嬉しさに、私は大好きなその名前を呼んだ。

依織(いおり)先輩!」

名前を呼ばれた当の本人は、私に気づき、驚いた様子で目を見開いた。

「葵唯……!?」

たった1年会わなかっただけなのに、随分会っていなかったように感じる……。
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