身代わり婚~偽装お見合いなのに御曹司に盲愛されています~
「どうしてだよ……」

あれから1カ月が過ぎようとしている。


なんどとなく家に通っても、お父さんすら会ってはくれない。あの家に礼華がいるのかもわからなかった。

俺は礼華にとって迷惑なのか?
強引に礼華との関係を進めた俺に嫌気がさしたのだろうか?
そんなことすら頭を過る。

本社の専務室は35階にあり、大きな窓からは俺の気持ちとは裏腹な青空が広がっていた。
そんな空から視線を外すと、昼休憩もとうに過ぎているだろが、俺は食欲もなく大きなため息をついた。

「しっかりしろよ」
秘書であり、俺の小さいころからの友人でもある高坂が呆れたように言葉を発した。

「仕事はしているだろ」
苛立ち紛れに俺は目の前のパソコンのキーボードを叩く。

「お前のそんな姿を見るなんてな」
少しからかうような言葉に俺はさらに表情を歪ませた。
< 155 / 183 >

この作品をシェア

pagetop