愛され秘書の結婚事情

5.


 食事の後、悠臣はハイヤーで七緒を自宅前まで送った。

「今日はごちそうさまでした」と頭を下げた彼女に、彼は「明日はどうするの」と聞いた。

「いつもと同じです」と七緒は微笑んだ。

「洗濯をして掃除をして、溜まったメールや郵便物を片付けます」

「どこかに出掛ける予定は?」

「ありません。言いませんでしたっけ。私、デートする相手も飲みに誘ってくれる友人もいないんです」

 七緒は冗談を言ったつもりだったが、悠臣はニコリともしなかった。
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