社長の溺愛にとかされて
「社長、株式上場に向けて忙しいからね~」

「決まったのですか?」

「この前の決算で、基準クリアだな」

会社が株式上場を目指していた事は知っていたが、
本決まりになったのは知らなかった。

慎也、上場会社の社長になるんだ。

なんだか遠い人になった気がする。

「玲緒奈ちゃんの為にね」

「私の為?」

株式上場するのが、どうして私の為なんだろう。

「社長、玲緒奈ちゃんの事好きでしょう?」

慎也が隠してないので、知られている可能性があるのは、
分かっていたけれども、ずばり言われて顔が赤くなる。

「玲緒奈ちゃん社長令嬢だから、釣り合うようにならないとって」

「そんな」

社長令嬢といっても、父親が中ぐらいな税理士事務所を開いているぐらいで、
セレブとかそんな事はまったくない、平凡な生活を送ってきた。
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