彼は大学の近くのマンションで一人暮らしをしている。
大学には電車と徒歩で通っているみたいだ。


20階建てのマンションの10階に彼の部屋はあった。


「どうぞ、上がって」


彼は玄関の鍵を開けるとドアを抑えて私を先に通してくれた。


「おじゃましまーす。わぁ、部屋すごく綺麗にしてるんだね」

私は辺りを見渡して驚いた。何故かって?
それはね、私より綺麗な部屋だったから。


「そうかな。どこもこんな感じだと思うんだけど」と和真くん。


私の方が服や漫画が積まれていて女子力がない、なんて言えない。まず帰ったら一番に部屋の掃除をしよう。


「飲み物何がいい?そんなに気の利いたものはないんだけど」


「お茶貰っていい?」


彼は私のキャリーケースを端によせ「りょーかい」とキッチンへ入る。


私の位置からは見えないがお茶を注ぐ音が聞こえ、2人分の飲み物を入れてくれた。


私はそれを受け取るなり「ありがとう」と言ってソファーに腰掛け、一口飲んだ。


人の家にお邪魔すると、どうもそわそわと落ち着きがなくなる。


足の位置さえもいつもどうやって座ってたかとか、どこを見ていればいいとか分からなくなる。