ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
∫2:気になる存在


【∫2:気になる存在 】



「蒼井は?」

「来てませんね。」


2年生になったあたしたち。

朝練中のバレー部。
インターハイ予選が終わり、受験対策に入った3年生が引退し、あたしたちがチームの中心になった。


練習開始して20分が経ったころ、キャプテンになった美咲に入江先生が声をかける。


「・・・・・・・・」


自分から入江先生に声をかけることなんてドキドキしまくることだった1年生の頃のあたし。
でも、入学して1年も経った今は、入江先生がすぐ近くにいるという環境に慣れてしまい、彼に対し自分を見失うほどはドキドキしなくなった。

だからなのか、彼の異変は簡単に感じとれる。

何も言わないけれど明らかに心配そうな入江先生。
体育館の出入り口をじっと見つけたまま。


多分、彼女がいつ現れるのかを
入江先生は伺っているに違いない
そう思う私は仕方がないと思うしかない



入江先生が気にかけている彼女
1年生の蒼井綾

背が高くて黒髪のショートカット
凛としていてボーイッシュなモデルさんみたいだけど
黒くて大きいその瞳でボールを追いかける姿は
同性のあたしでもドキドキせずにはいられない存在


バレーはかなり上手だけど
学業成績はいまひとつで
練習試合に出かけた際に靴を忘れたり
大会の帰りには乗る電車を間違えたりというドジな一面がある
というギャップのおかげで
あたしにとって蒼井は
妹みたいに世話を焼きたくなる存在



だから
入江先生が蒼井のことを気にかけるのも不思議なことではなかった




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