さようなら
★面会

『池田さん、なんか


面会
『池田さん、なんか工事の服みたいなのをきてる人が、お兄さんだって面会にきてるんだけど…。先生は本人に任せるって言ってるんだけどどうする?」
まゆみ『……談話室で会います」
あたしは逃げたくなかった。もう一人じゃないから。あたしには須賀先生がいるから。
談話室はナースセンターからも見える。
きっと大丈夫!!

まゆみ『何しにきたの?」
きよし『…痩せたな」
まゆみ『…何しにきたの?」
きよし『面会だよ。それより、背の高い眼鏡かけてるのがまゆみの担当か?」
まゆみ『そうだけど」
きよし『あの事言ったのか?」
まゆみ『言われちゃまずい?たったら何でそんな事してきたの?あたしの人生返してよ!」
あたしは興奮していた。
ナース『まゆみさん、落ち着いて。ね!
今日もう病室戻りましょう。お兄さん、もうしわけないですけどお引き取り下さいね。」
きよし『兄としてまた面会はできるんですよね?」
まゆみ『はぁ⁉どの面下げて言ってんだよ‼」
ナース『まゆみさん、とにかく落ち着いて。お兄さん、面会は担当の医師の判断にもよりますが、患者本人の状態にもよりますので、お兄さんとの面会は無理かと思われます。とにかく今日はお引き取り下さい。さ、まゆみさん、病室戻りましょう。」
ナースに促されあたしは病室に戻った。
イライラする。心配で面会にきたわけではないのは明確だ。
自分がしてきた事を病院側にはなしてないかどうかの確認だ。
謝罪の言葉すらないのか?
本当にイライラする。
頭が混乱している。
不運にも須賀先生の姿はナースセンターにはなかった。

夕飯後。
須賀『まゆみさん、ご飯食べられなかったみたいだね」
まゆみ『先生…きてくれたんだ…」
須賀『うん…ちょっとカンファレンス室行こう」
まゆみ『うん」
あたしは先生の後ろに付いていった。
須賀『今日はごめん」
まゆみ『面会の事?」
須賀『うん。実はお兄さん前にもきた事あるんだ。まだ、君が話しをしてくれてないとき」
まゆみ『今日はどうして面会許可したの?」
須賀『君の気持ちを確かめたかった」
まゆみ『気持ち?」
須賀『君がどこまで強くなれたのかって」
まゆみ『…辛かったよ」
須賀『ナースから聞いたよ。一人で頑張ったね」
まゆみ『一人じゃない。あたしには先生がいるから。だから頑張れた。ガツン❗と言えたよ❗」
あたしの目から涙がこぼれだした。
まゆみ『先生…なんでいてくれなかったの?」
須賀『ごめん。急患が入ってたんだ。僕も気になって仕方がなかった」
先生は握りこぶしをつくっていた。
まゆみ『あたしだけの先生じゃないもん。仕方ないよね。
気にかけてくれてただけで充分。ありがとう」
< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop