死者の闇〜最期のメッセージ〜
「はい、河野大河です。霧島さんの働く法医学研究所でアルバイトをしています」

大河は驚きつつも福山美里に挨拶をする。福山美里の目が一瞬変わったのを藍は見逃さなかった。

「今は何してるの？」

「事件の被害者の方について聞き込みをしていました」

「村松かけるさんのこと？」

「はい、何か知っていることはありますか？」

藍が訊ねると、福山美里は少し考えたがすぐに首を傾けた。

「ごめんね。わからない」

「そうですか……。ありがとうございます」

藍は頭を下げ、申し訳なさそうな顔をする福山美里を見つめる。

「何かあったらまた質問してね」

「はい。またご協力、お願いします」

二人は同時に頭を下げ、村松かけるの家へと向かう。妻から話を聞くためだ。

「実は……主人が亡くなる数日前から主人が誰かと揉めているような電話を聞いたんです」

藍と大河が村松かけるの家を訪れると、お茶を出した後に妻が疲れ切った声で言った。藍の表情が険しくなる。
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