続・政略結婚は純愛のように
幸せな朝
 次の日、由梨が目覚めたのはもう陽が高くなってからだった。
 朝も夜もなく働く隆之とはすれ違うことも多い生活で、ゆっくりと触れ合ったのは随分と久しぶりだったように思う。
 その分昨夜の隆之は、いつもより長く執拗に由梨を求めた。
 結局由梨が眠ることを許されたのは空が白み始めた頃だったのだ。
 まだ回らない頭のまま、すっかりと明るくなった寝室を由梨は見回す。
 隆之は先に起きていて、けれどベッドからは出ずに由梨の隣で新聞を読んでいる。
 その端正な横顔を眺めながら、由梨はまた幸せを噛み締める。
 男性を愛することなどあるのだろうかと思っていた過去の自分が嘘みたいだ。
 愛しい人の隣で、こんなに優しい気持ちで目覚める朝を迎えることができるなんて。
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