君とわかれるその日まで、溢れるほどの愛を描こう

五人で仲良く



保健室に着いてすぐ、保健の先生は何故か無言でベッドを空けてくれた。


内部事情を把握済みってことはすぐに分かったけど、ここに来ないことが謎で仕方ない。

・・・いや、何しに来たの、一体。


先生がどうにかしてくれるものだろ。って、俺の頭の中は今日に限って大忙し。



「教師とか頼ってらんないの。この子大人が嫌いだし」

「・・・へぇ」

「・・・まだ大丈夫かな。先生、一応、救急車」



救急車。・・・え、救急車?


ペットボトルの水を持って後から入ってきた、もう一人 の誰かの発言。

そして俺の心の声を読んだかのように素晴らしいタイミングでよく分からない説明をありがとう。


その もう一人 は、白石凜の体を支えたまま慣れた手つきで薬を飲ませて、恐らく呼吸を確認してた。



「名前、何?そして何組?凜の何?」

「・・・紀井優人。六組。ただのクラスメイト」

「きい?言いにく。優人ね。・・・なんで凜を助けたの?」



え?

いや、なんでって・・・なんでだろう。

質問に応えてすぐに再び来た鋭い質問に、俺は心底悩んだ。


そしてそれに追い打ちをかけるように、もう一人の誰か が俺に向かって話し続ける。

・・・なんかめっちゃ睨んでるし。



「なんかめんどくさいこと嫌いそうだから」

「・・・あぁ、まぁ、うん。ていうかごめん、君の名前は?」

「長瀬妃菜。凜の双子の姉」

「双子。・・・双子?」

「名字が違うことには突っ込まなくて良いよ。説明すんのダルいし」

「あぁ・・・うん、そっか」

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