身長差30cm、年の差12才、この恋あり
聖夜が向かった場所は海だった。



まだ9月だというのに、肌寒い夜の海。



聖夜は自分の上着を、私にかけてくれた。



何も言わない聖夜。



「バイク、怖かった。」



「美莉、ビビり過ぎだから。」



「聖夜が美莉って言った。」



「ミニもミリもたいして変わんないけどな。」



「変わるよ。絶対ミニは嫌だ。」



「もう泣いてないな。良かった。」



「聖夜が心配してくれるなんて、信じられない。。」



「さっきは言い過ぎた。美莉見てるとつい構いたくなって、悪いと思ってる。」



「ううん。私もおとなげなかったからね。いろんな事から逃げてたのは事実だから、何も言えない。」



「俺もここまで来るのに色々あった。高校の時は荒れて悪い事ばかりしてたよ。生きてるのも嫌になった事もある。」



そう言って、聖夜は左手首のキズを見せてくれた。



「私も同じとこにあるよ。」



もしかしたら、私たちは似た者同士かも知れない。



夜の海は真っ暗で、黒い波にのみ込まれそうで、何だか怖い。



生きていれば、みんなそれなりに色々な事がある。



たいした悩みでなくても、本人にとっては死にたくなるような思いもあるし。



二人でずっと海を見つめていた。



聖夜はどうして、夜の海に私を連れて来たの。



きっと、聖夜にも辛い過去があったのだろう。



私の悩みなんて、本当はたいした事ないのかも知れない。



誰にも話せず、ずっと自分の殻に閉じこもっていた過去。



誰も助けてくれないと、諦めていた。



聖夜が私のキズに触る。



「痛かったな。」



なんだろう、熱いものが込み上げて来て。



私も聖夜のキズを触れると、同じ痛みを感じた。



生きていて良かったと、心から思える。



生きていたから、聖夜とも出会えた。



最悪な出会いではあったけど…………



なんで、こんな事思うのか、不思議な気持ちだった。



















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