あまい・甘い・あま~い彼が見つからなくて

大翔

***
「そろそろうちの病院に戻ってこないか?」

お正月、三が日の間にとれた一日だけの休みに実家に帰った。

颯馬家族も遊びにきていてみんなで久しぶりに囲んだ食卓で、父が私にそう口を開いた。

「愛美から報告はまだだが、いずれ結婚しようと思う相手がいるんだろ?」

「ごほっ」

思いがけない父の言葉に危うくお餅を喉につまらせかけて、むせた涙目で颯馬を睨んだ。

「救命は多忙だからそんなところで勤務してたら恋人にすぐに逃げられるぞ愛美。」

さらにストレートに私に話かける父に飲んでいたお茶を今度は吹き出しかけて再び私は咳き込んだ。
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