黒と白の境界線〜心理学者の華麗な事件簿〜
テーブルの上にはワイングラスが置かれていて、そのグラスの中には半分ほどワインが入っている。ワインボトルもその近くに置かれていた。

「あれ?これは……」

遼河がテーブルに近づく。テーブルの上にはメモ用紙が残されていた。赤いペンで「RACHE」と書いてあった。どこかで見たことのある単語に、京はどこで見たっけと考え込む。

「亡くなった人のダイイングメッセージなんですかね?」

遼河が言うと、「なら普通犯人の名前を書くだろう」と末良刑事は言った。

「知らない人物に殺されたとか?」

「顔見知りでなかったら、わざわざ毒殺なんてすると思うか?」

末良刑事と遼河が推理合戦を繰り広げている間、京は部屋を観察していた。争った形跡などなく、モダンな家具が置かれている。

謎のメッセージを見た場所を京が思い出したのは、森山礼司の死因を末良刑事が教えに診療所にやって来た時だった。





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