黒と白の境界線〜心理学者の華麗な事件簿〜
三章 刑事と第三の事件
「二つの事件はつながっている?」

京がそう聞き返すと、末良刑事は「間違いない!」と自信ありげに頷く。

森山礼司の解剖が終わった翌日、末良刑事が訪ねてきた。森山礼司の死因は、トリカブトの毒によるものだという。しかし、森山礼司の周りにはトリカブトなどない。

「犯人がトリカブトを飲ませたんだ!ワインからはトリカブトは検出されなかったから、犯人がトリカブトの毒を持ち歩いていたんだろう」

そう推理する末良刑事に、「赤坂巴さんの事件とどうつながっているんですか?」と遼河が訊ねる。その顔は緊張しているようだった。末良刑事はコホンと咳払いをし、口を開く。

「まず第一に起きた事件、あの事件の特徴は沼マムシに被害者は噛まれて殺されたことだ。なぜ沼マムシを使って犯人は被害者を殺したのか、それはこの小説のトリックを使ったんだ!!」

末良刑事がそう言いかばんの中から取り出したのは、シャーロック・ホームズの本だった。その本を見て、「あっ……」と京は呟く。
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