黒と白の境界線〜心理学者の華麗な事件簿〜
カレーが運ばれてくる間、女性と男性は趣味の話や仕事の話などを話して過ごす。パッと見ただけでは、カップルか仲のいい友達同士がご飯を食べに来たとしか見えないだろう。

しばらくして、カレーが運ばれてきた。おいしそうなチーズカレーだ。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

男性は女性にスプーンを渡し、自分も握る。男性はスプーンを上からギュッと握るように持った。上手持ちという持ち方だ。

「わあ、おいしいです」

女性はカレーを口に入れ、男性に笑う。男性は「でしょ!?」と子どものようにはしゃいだ。

「あ!せっかくですし、写真撮っていいですか?」

男性がカメラを取り出す。男性の趣味はカメラだ。女性は快く応じる。

穏やかな午後だった。
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