三日間の幸福
避難所
もう2月。
つま先が冷たい。
感覚がない。

ひたすら1人歩き続けて、家に着いたのは午前0時前。
何度か揺れを感じた。

こんな時間なのに、家から出て逆方向に歩いていく人たちの多さ。
みんな避難所に向かってるんだろうか。

私の家はどうなってるんだろう。

6階建のマンション。
その3階。

おそるおそるドアを開ける。

当然部屋の中は真っ暗だ。
一応玄関の電気をつけてみるけど、全く反応なし。

スマホでその場を照らしてみた。

「えっ・・・」

1Kの部屋全体にガラスの破片が飛び散っている。
天井に取り付けられていたはずの照明が根こそぎ剥がれ落ちていた。

食器棚は倒れ、食器が散乱している。

調味料の塩や胡椒が転がり落ちているのも見えた。

ザッと見ただけで、眠れる状態ではないことが分かる。

パンプスのまま部屋に上がる。

水道の蛇口をひねってみるけど、水も出ない。

ため息が漏れる。

「南小学校ってどこー。」

私はスマホの地図で南小学校を調べた。

仕方ない。今日は体育館で寝泊まりだ。

スウェットの上下と薄手のダウン、コート、ブランケット、毛糸の靴下、とりあえず必要そうなものを大きなバッグに詰め込んだ。

< 5 / 34 >

この作品をシェア

pagetop